2020/10/24

PowerCalのパワーとは。

通勤を利用して、PRECISIONとPowerCalの出力を比較するデータを取ってみました。思惑としては、Zwiftで記録されるTSSや、それをベースにしたCTLの管理に、これまでの通勤で記録していたPowerCalの値も加えることです。突き詰めれば同一のパワーメーターか、まったく同じ特性を持つ(もしくはそのようにキャリブレーションされた)パワーメーターでないと、同じデータとしては扱えないんでしょうが、ライド全体でそれなりに近しい値になればCTL管理には利用できるのではないかと考えました。
PRECISIONの出力をEdge520で、PowerCalの出力をEdge500で記録し、データを揃えやすくするためにPowerCalの心拍数を両方で受けて、記録されたパワーと心拍数をGoogleスプレッドシートでグラフにしています。2週間ほど往復で記録してみて、「まぁ、そうだよな」という結論に落ち着いたので公開します。

PowerCalがPRECISIONにわりと追従した値を出したのが10/10の例。中間地点あたりで信号待ちからの高架でスプリントをかけていますが、グラフの形状や数値に大きな違いが見受けられません。また、後半1/3の上り区間でも200W前後を維持していて同じようなデータとなっています。ただ、後半に差し掛かったところでは渋滞でストップした区間となっていて、PRECISIONが脚を止めている間が0になり変動が大きくなっているのに対して、PowerCalは心拍数が下がり始める前に再スタートを切ったためかパワーが下がり切れていません。

一方、同じルートで取った10/03のデータは、それぞれ異なるところでピークを記録しています。終盤の上り区間では10/10と同様に一定のペースが保てていますが、前半に顕著な乱高下する値は実態に即しているとは言い難いところです。

ローラー台でのトレーニングであればともかく、信号待ちでのストップアンドゴーや、渋滞や信号を先読みしてペダリングを緩めた場合など、どうしてもデータに反映されないパターンが出てきます。えてして同じ区間で記録したデータでも、平均ワット数はPowerCalのほうが高くなる傾向にありますが、体調や走り方によって130%~170%と幅があり、係数をかけて参考とするのも難しくなっています。
また寒くなってくると汗をかくのが遅くなり、心拍の取りこぼしがスパイクとして記録されることがあります。ただ心拍数が0→130→0→128→……と変動するだけであれば補完が可能ですが、これがPowerCalだとパワー値も影響を受けてしまい、3000Wのような異常値につながってしまいます。これが明らかにおかしい値ならば対処できますが、1000Wならどうなのか、下り区間での600Wならどうなのかと考えていくと、キリがなくなってしまいます。

月並みなオチですが、特定の条件下ではまともな値を出すことがあるものの、心拍数の変化のしやすさに支配されるためにパワー値としての信頼に欠けるという結論になります。SRMやPowerTap、ペダリングモニターといったパワーメーターが普及する以前の心拍計を使ったトレーニングメニューであれば疑似的なパワー値として見なすことができそうですが、瞬間的な上げ下げには不向きです。また、膨大なデータをもとに老若男女問わず心拍数のみでパワー値を推察するという謳い文句でしたが、裏を返せばパーソナライズされたデータにはなりえないということになるのでしょう。

例えば、PowerPodのように速度センサーやケイデンスセンサーと連動して、複合的にパワー値を算出するようであれば、精度がまた違ってきたのかもしれません。

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