パンターニに続いて、ランス・アームストロングのドーピング問題も映画化され、地元で数少ない稼動している映画館で上映されていたので、上映回数が減ってしまう前に観に行ってきました。開演15分前で観客はゼロでしたが、それでも始まる頃には5,6人は入っていたようです。
ツール・ド・フランス7連覇という偉業を達成し、後にすべてを剥奪されるランス・アームストロングが、ロードレーサーのキャリアの中で欧州のクラシックレースに参戦するも歯が立たず、EPOに手を出したところから、癌治療からのカムバック後にツール・ド・フランスの総合優勝、一時は引退するも現役復帰するも過去のドーピングが発覚する場面までが描かれています。作中にも登場するスポーツジャーナリストのディヴィッド・ウォルシュの「Seven Deadly Sins: My Pursuit of Lance Armstrong」が原作となっており、オプラズ・ネクストチャプター内でランス自身がドーピングについて言及した内容まで含んだ構成になっていました。
現状がどれだけクリーンになったかはさておき、自転車ロードレース界にドーピングが蔓延していた事実については様々な選手の証言からも明らかになっていますが、とりわけランスについては度重なる検査で陽性反応が出ることもなく、引退後にランディスやハミルトン、ヒンカピーといった元チームメイトからの告発で輝かしい記録を失うことになりましたが、この作品ではどうしてもランスがドーピングを主導したように見受けられるのが残念でした(ランディスはドーピングを強要され、最後は見捨てられる被害者のように描かれますが、翌年のツール・ド・フランスでスーパーランディスとまで評される驚異の追い上げがドーピングによるものだったため、個人的には同じ穴の貉だと思ってます)。
全容が明らかにされることはないのかもしれませんが、USポスタルというチームそのものや、自転車ロードレースのイメージダウンを恐れたUCI側にもメスを入れて多角的に明らかにしてほしいものです。
ランス役を演じたベン・フォスターはこの配役のために減量を行ったそうですが、これがまたよく似ていて、Atmos (Giro)を被って5900に跨るだけでランス・アームストロングを再現していました。その他の配役についても、ブリュイネールは顔の輪郭や髪型は似せてあったし、ランディスもひげの特徴はよく掴んでいたように思います。
ただ、コンタドールだけは手を抜き過ぎでした。バキュンポースをすればどうにかなると思うなよ。