ジオメトリのオーダーに対応した、ブリヂストンアンカーのフラッグシップモデル。ジオメトリのみならずフレーム剛性までオーダーでき、専用のフィッティングマシンや最適な剛性を算出するプログラムまで用意するという気合の入れよう。7段階ある剛性レベルのうち、最も硬い1と最も軟らかい7を試乗させてもらった後に3をチョイスしました。サイズオーダー可能とはいえ、基本サイズをベースにトップチューブ長を5mm単位で調整できる程度ですが、既存のフレームサイズの隙間を埋める形になるので落とし所としては巧いですね。
造形としては、ドラゴンクローヘッドやリア三角はRHM9を踏襲。ヘッドチューブがラグになったことで、トップチューブ・ダウンチューブは凹凸の激しかったRHM9と比べると全体的に丸くなりました。特にダウンチューブはおにぎり型(角を丸くした三角形)になっており、BBシェルいっぱいまで広がってます。
RHM9ではフロントフォークにリブを入れてましたが、ヘッドワン下部のベアリング径を1/4としたRMZは全体的に横に張り出したストレートフォークを採用してます。見た目の好みはストレートフォークですが、ハンドリングの良さは相変わらず。フレームサイズに合わせてフォークにも複数サイズを展開するのは他社にも見習って欲しいところ。
ちょうど中間となる4がRHM9と同等の剛性ということで、それと比較するとやはり硬くなってます。ただ、Herculesで感じたパキッとした硬さとは違い、剛性レベルが高いものは大入力に対してグッと踏ん張る感じの硬さになります。逆に7だと踏ん張る感じが薄くなるので、瞬発的にペースを上げようとしたときに物足りない感じに。これがTimeのフレームだったりするとBB周りの返りを活かして踏むことができるんでしょうけど、そういったバネ感は希薄で、このあたりは今後の課題となってくるかと。1でのヒルクライムはペダリングの重さが先行してしまい、ちょっとした修行です。
ロードバイクのフレームを評価するにあたり、ちょっと前までは剛性の高さが一つのステータスとなっていましたが、最近は見直される傾向にあるように思います。RMZは複数の剛性レベルを用意しており、その点ではユーザーフレンドリーなのですが、ブリヂストンアンカーに所属するプロ選手でも4以下を選ぶという話を聞くと、コストの使いどころをちょっと間違ったんじゃないかと思わなくもありません。コストパフォーマンスも含めるとRHM9RSが優位だし、販売店側の負担も小さくないもんなぁ(フィッティングをした上で適正サイズを割り出すというのは大切だと思いますけど)。
2011モデルではRA6、RCS6、RFA5といったアルミフレームが一新されたので、2012モデルではRHX8、RHM9のフルモデルチェンジに期待してるのですが、特にRHM9の後継機はヘッドの上下異径化がされるとして、リア三角が見直されるかどうかが分かれ目になりそうです。RMZはワイヤー内蔵式のDi2専用フレームを出すくらいかな。